2020/02/19
酒器 紅梅 白梅

あたたかな日、ふと思い立って、近くの梅林に足を向けてみる。
林の中、ポツリポツリと咲く椿の赤にいざなわれながら、遊歩道の階段を上っていく。
脇の藪の中からカサカサと音がする。
目を凝らすと、笹の葉の間から見え隠れする灰緑色の小鳥。
まもなく彼らの歌が春を告げる。
頭上からは、高くかぼそい小鳥の声。
四十雀かしらとふと見上げれば、木立の間を飛び交うエナガの群れ。
群れに混じって、コゲラが木を打つ音が林に響く。
木立を抜け、少し坂を下ったら梅林。
冬の名残の、灰みがかった青空に映える紅白の花。
辺りに漂う甘い薫り。
五感でしみじみと春を味わう、あたたかな昼下がりのひととき。