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蓋物作品「咖喱の旅」

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スパイスを見ていると心が浮き立ちます。
木の実や小石、ビーズやおはじきなど子どもの頃に集めた宝物に似た感覚かもしれません。

子どもの頃住んでいた場所の近くに、当時はまだ珍しかったであろうインド料理の店がありました。
ガラス越しに、まるいナンの生地を、のばしてタンドールに張り付けるのを夢中で見ていると、
インド人の職人さんがニコニコと笑顔で手を振ってくれたのを今でも覚えています。

カレーは、私にとってどこか秘密めいた感覚を思い起こさせる食べ物です。
植物の実や種や根や皮。それらを鍋で煮詰めてつくるカレーは、子どもの頃イメージしていた
魔女の姿そのもの。カレーを作る時は、魔法を使えるような気がして気分が高揚するのです。

スパイスが織り成す香りに酔いしれながら、気の遠くなるような時間をかけて、たくさんの人を介して、
運ばれてきた、いにしえの道に想いを馳せます。